自分でも驚くぐらいの力
『Sクラスの…』
その力は想像を超えるもの。
気合いだけでデルピュネは吹っ飛び、壁に叩きつけられた。
「ちっ…。」
すぐに起き上がり立ち向かってきた。
「クソガキがっ!」
炎を吐き、僕の体はすぐ炎にまかれた。
炎は大蛇に変化し体に巻き付く。強い力が体を締め付ける。
「何やってんだよ!変身しろよっ!」
叫ぶ死神。
デルピュネを抑えつけ、僕の変身を急かす。
「うるせぇ!邪魔すんな!」
変身をしたくても出来ない…。
体か言うことを聞かない…。
(ちっくしょ〜。)
僕がもがいている間に、死神の体が知らぬ間に燃えていく。
「死神ーっ!」
「はやくしろっ…。」
妖力が弱まっていく…。
段々体が重くなっていくとき、僕の体の中で熱いものが込み上げた…。
(あれ…?なんだ…?)
胸が高鳴る…。
吐き気が込み上げる…。
いつもと違う…。
僕はそのまま無意識になる…。
何かが目覚めた…。
自分の意志ではなく、違う…。
僕であり僕じゃない…。
いつの間にか変身をして大蛇の体を食いちぎる。
悲鳴を上げ地面に倒れるデルピュネ。
「なんだこの力…。」
デルピュネは直ぐさま起き上がり、また突進してくる。
本能は頭の中で
(デルピュネを…倒せ…。)
と呟く。
「グルル…。」
突進してくるデルピュネに僕の体も勝手に突進していく。
腕をかみ砕き、腹をひっかいて踏み付ける。
僕の本能の姿…。
デルピュネは消え、術も解け、捕われている扉が開く。
「ハーン。よくやったな…。」
死神がよろけながら僕の側に来る。
「今のが…俺なのか?」
力が抜けるように、元の姿に戻る。
「本性だな。」
一言呟いて、扉の向こうへと進んで行く。
(俺の本性…。)
なんだか自分が怖くなる。
扉の向こうにはライアンが倒れていた…。
エリンと奈々はいない。
「おい…大丈夫か…?」
体を起こし話しかける。
「2人共…連れて行かれた…。すまない…。」
ライアンの息が弱い…。
「くそっ…ここまで来たのに…。」
エリンと奈々は一体どこへ………。
7章 終り