(ふざけんなよ…。)
僕はさっきのように力が出ない…。
『禁断の魔力』は使えずにいる…。
僕等は身動きも出来ないまま、エリンに攻撃されまくる。
もう…ダメなのか…。
そう感じた時、今まで動かなかった体が動いた。
「ナンダ…ドウシタ…?早ク攻撃シロ!!」
エリンも攻撃をやめ、奈々もずっとこちらを見ている。
よく見ると、二人とも涙を流している…。
(エリン………。)
「ナゼダ………。術ガキカナイナンテ…。」
秀明の瞳からも涙かこぼれる…。
そして…段々と体か変化していく。
「死が…近い…。」
死神はそう呟く。
「なんだよ…。どうゆう事だよ…。」
僕は死神の顔を見た。
真っ直ぐな目は秀明の姿を見つめている。
「秀明の命の糸が切れそうだ。このままだと、秀明は乗っ取られてしまうぞ…。」
「そんな…何とかなんないのかよ!!」
「すまん…俺にはどうする事も出来ない…。」
その言葉にカッとなり、ライアンが秀明の元へ走り出した。
「ライアン!!」
僕が呼び止めても無駄だった…。
「お前までいなくなったら…奈々が…奈々がかわいそうだろ…?」
秀明の前に立ち、話しかける。
ライアンが妖力をためて攻撃をしようとしていた。
「…姉ちゃんを…守っ…て…。」
そう言い残し、完全に姿を変えてしまった…。
「あれは…。」
僕等の目の前に立つのは…。
「キ…キマイラ…。嘘だろ…?」
死神が震えてる…。
「キマイラ?始めて聞いたぞ…。」
「昔、鬼獣族だった…。反乱ばかり起こし、王の忠告を無視し、人間界を支配しようとして、王に絶滅させられた…。生き残ってたのか…?」
「私ハ…オ前達ノ偉大ナル妖力ヲモライ、復活ヲ遂ゲル…。モイライガ人間ト結バレテカラ…。ヤット…。コノ日ヲ待ッテイタ…。」
「…?奈々の父親も操られていたのか?」
「奈々ノ父親ハ私ダ…。モイライヲ利用サセテモラッタ…。」
「!!」
死神はしゃがみ込み…。
「あの時から…。みんな騙されていたのか…。」
悔し涙をボロボロと流す…。
「私達…キマイラハ…。」