―この数年でいろんなことが
変わった
落ちこぼれていた俺が
夢を一度は諦めた俺が
今は多くの人に夢を与えている―\r
駐車場に車を止め
マンション内に入る
エレベーターで上がり
暗い廊下を一人歩く
デビュー前に住んでいた
このマンション
今も変わらずに住んでいる
―でももう手紙は届かない―\r
部屋の前で立ち止まり
ゆっくりドアを開ける
いつものように
「…ただいま」
と言ってみる
返事が
しなかったら恐いけど
―ある日
ある高校生から届いてしまった
あの間違いletter―\r
部屋の奥から聞こえてきたのは
「おかえり」
という声
その声にいつもほっとする
―あの手紙が届くことは
もうない―\r
今日も彼女はいつもの幼い笑顔で
俺を迎えてくれた
―2人を繋いだ
あの手紙
でも
もう必要ない―\r
俺は彼女を抱きしめる
手紙はもういらない
君は今、
俺の側にいる
あの日
俺が帰りを待った人
「ただいま、ゆか」
今日も彼女は俺に微笑む