お兄ちゃんがあなたに訊きづらかったのは何故なんだろう。
人前で話すのが苦手だからと言ったあなたに、何故その理由を訊くことをためらったのだろう。
「藍田さんに何があって、まわりの女の子と話さなくなったんだろうね。」
いつのまにかみずきは、あなたについての事を私と一緒に考え始めていた。
「私もそれが分からないんだ。私たちとは話したりしないのに、彼氏とか翔くんとか、お兄ちゃんが行ってたうちの学校の男子校の人たちとは話すみたいだし…。小学校までは男子がいたから私たちの方が話す機会ありそうだけど、ないんだよね。」
みずきは少し窓の外に目をやって、何かに気が付いたみたいにこちらに目を向けて話し出した。
「女子がだめ…な感じがするね。じゃあなんで、高校から女子校に来たんだろう。分からないな、やっぱり。複雑そう。」
考えが纏まらないのか、髪を指にくるくると絡ませては解いてを繰り返していたが、その手が止まった。
「私、藍田さんと話してみたいな。気になっちゃった。」
それは、私も同じだった。考えれば考えるほど、あなたが何を抱えているのか気になって、それを知りたくて解いてみたくなった。