何故、あなたは人前で誰かと話をするのが苦手なのだろう。
何故、あなたは女の子とは話さないのだろう。
高校生だったあの頃、周りの女の子と付き合いを持たないのは教室の中ではすごく不便なことだった。特別仲良くならなくても広く浅い付き合いもしていないと、一対何十になってしまうから。
その何十人の一人一人だけでは何も影響力はないけれど、何十人もの女の子が纏まった時は物凄いパワーがある。
お兄ちゃんはそう言う事を心配しているわけではなかったけれど。
「それでお兄ちゃんは、普通の女の子みたいに休み時間になったらお喋りしたりしない私と同じ歳の藍田さんが気になったんだって。それで未だに気になって居るみたい。」
みずきは、翔くんがあなたに振り回されていることなんて忘れてしまったみたいに、お兄ちゃんと同じ様にあなたが気になりだしたみたいだった。
「そうだね、何か藍田さんって自分で壁を作っちゃって誰も近づけない感じだよね。でも、塾も終わって一年以上経ってのに何でまだ気になってるの。」
みずきはまた髪を指先にくるくると巻き付けは解いてを繰り返していた。
これは考え事をしている時の彼女の癖みたいだ。