その予感は的中していた。
レコード会社に残った白鳥健吾は古賀のメルセデスに乗り二人だけでスタジオへと向かった。
アシスタントディレクターの渡辺だけは古賀が先にスタジオで待っているようにと頼んでおいた。
二人の乗る車内では思いの外、会話が弾んだ。
会話の内容は自ずと音楽の話しになってしまう。
白鳥がどんなミュージシャンを聴いてきたことやギターの話しになると二人は年齢差を忘れて盛り上がった。
スタジオの駐車場に着くと車のトランクからは、積んできた白鳥のギターと古賀が常に積んであるギターを取り出し、二人でスタジオへと入り込んだ。
そこにはアシスタントディレクターの渡辺が既におり直ぐに音が出せる準備を済ませておいた。
古賀は渡辺に「頼んだぞ」とだけ言った。