仮面

あめだま  2009-10-24投稿
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奇麗な奇麗な赤色の金魚。


血のような赤。


ひらひらくるくる。宙を舞う蝶のように自由気ままに泳ぐ奇麗な金魚。


季節を違えてこんな白の舞う季節に泳ぐ。


お前は何を思っているのだろう。


そっとてで掬おうとしても、するりするりと指の間を抜けてゆく。


目の前にあるのにとどかないもどかしさを与えて、金魚はふらふらひらひら泳いでいく。


時たまくるりとまわってみせて、捕まえて見ろとばかりに近寄るくせに。


手を伸ばせば逃げてゆく。


なぜなんだ。


金魚すらつかめない己の手は、お前を捕まえる事もできないのだろうか。


不意に上を見上げてみても、数え切れないほどの星達が輝いているだけで。


あぁ、あの星達にも手は届かない。


この世界には、己がつかめる物などあの星一つにもみたないのだろう。


そっと瞳を閉じ届かぬお前に思いを馳せた。




届かぬ思い
(瞳を閉じた先に見えたのは、血の色金魚と星空だった)



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