奇麗な奇麗な赤色の金魚。
血のような赤。
ひらひらくるくる。宙を舞う蝶のように自由気ままに泳ぐ奇麗な金魚。
季節を違えてこんな白の舞う季節に泳ぐ。
お前は何を思っているのだろう。
そっとてで掬おうとしても、するりするりと指の間を抜けてゆく。
目の前にあるのにとどかないもどかしさを与えて、金魚はふらふらひらひら泳いでいく。
時たまくるりとまわってみせて、捕まえて見ろとばかりに近寄るくせに。
手を伸ばせば逃げてゆく。
なぜなんだ。
金魚すらつかめない己の手は、お前を捕まえる事もできないのだろうか。
不意に上を見上げてみても、数え切れないほどの星達が輝いているだけで。
あぁ、あの星達にも手は届かない。
この世界には、己がつかめる物などあの星一つにもみたないのだろう。
そっと瞳を閉じ届かぬお前に思いを馳せた。
届かぬ思い
(瞳を閉じた先に見えたのは、血の色金魚と星空だった)
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