ネバーランドの終焉

アイ  2009-10-24投稿
閲覧数[415] 良い投票[0] 悪い投票[0]

桜の花が散る時に、一緒に消えておけばよかったんだ。

そうすれば、今、こんな想いをしなくてすんだのに。

あの家出の夜に、思いっきり泣き叫べばよかったんだ。

そうすれば、今、泣くに泣けない気持ちを押し殺さずにすんだのに。

世界は残酷だ。

それをわかった上で生きている人間は、もっと残酷だ。

残酷で、強い。

強いから生きていける。

寂しさを殺す術を知っているんだろう。

傷つけられず、集団の中で、うまくやっていく自信があるんだろう。

好きなんだろう。

誰よりも、まず、自分自身が。

それなのになぜか。

私たちは誰か大切な人を探して。

すべてをぶちまけたいと思っている。

強いはずなのに。

それほど期待もしてないくせに。

信じてないくせに。

私たちは何食わぬ顔をして、実は血眼になって誰かを探している。

分かち合える人を。

心から信頼できる人を。

自分に合わせてくれる人を。

自分から他人に合わせる気はないくせに。

わがまま。

でも、きっとみんなはそうやって生きている。

昔は子供だったからわからなかった。

愛と勇気と優しさと真実。

すべてすべて、子供時代の自分は、手のひらに持っていたはずだ。

固く握り締めていたはずだった。

だけど、前より少しだけ大きくなった手のひらには、正直、何も残っていない。

私は大人の国に来たのだと思う。

今度はこの世界で、うまくやっていく術を学ばなければならないのだと思う。

出会ってきた人たち、すべての背中を、しっかりと見習いながら、私は私の道を歩いていく。

――残酷な世界。

その景色の中を、できれば爽やかに歩いていきたいと思う。


i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 アイ 」さんの小説

もっと見る

詩・短歌・俳句の新着小説

もっと見る

[PR]
ツルツル×脚痩せ
効果抜群↑ソルト


▲ページトップ