え?
今、なんて言ったの?
この子… 今、好きって言った?
私の手を握っている新の手はやっぱり震えている…。
「俺が岸さんに比べて全然ガキなのはわかってる。でも、この一週間考えたんだけど、どう考えても…」
「ちょ、ちょっと待って…新くん落ち着いて。大体、私のこと何にも知らないでしょ。まだ2、3回しか会ったことないのよ」
「知ってるよ。岸さんは、すごく優しい人だ」
まっすぐな目で私を見ている。
綺麗な…汚れのない純真無垢な目。
「…新くんは、辛いときに優しくされたから、勘違いしてるんだよ。新くんの気持ちはきっと恋とかじゃ…」
「…俺だって、最初はそう思いました。でも…」
「新くんと私は親子ほども離れてるんだよ?新くんみたいな子に好きだなんて言われるのは光栄だけど」
新の目が鋭く、私を睨んだ。
「俺は、俺は本当に…好きなんです。茶化すのはやめてください。子供扱いも…」
「だって私からしたら子供だよ」
新はゆっくりと私から手を離し、立ち上がると玄関から出ていった。
このとき私は、動揺してるのを新に気づかれたくなくて、平静を装っていた。
続く