昔の彼女(10)

ひろ  2006-08-06投稿
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その日は朝から縁起が悪かったというか…

通学途中でクロネコが前を横切ったし?

怖い夢を見て目覚めも最悪だったから、これも夢なのか…?

(由美に似ている…)

今、俺は全く理解できない状況に立たされていた。

朝、登校してHRの時間。季節外れの転入生に教室がざわめいているのだが。

なんとも由美っぽい。髪は伸びたけれどパッチリした目、小学生かってくらいのちっこい身長…


「ゆ…」
俺が名前を口に出す瞬間。

《由美ぢゃん!!》

何人かのクラスメイトが声を揃える。


懐かしい感じに由美も顔を緩める。

そぅ、ここは地元だから中学の時の奴らが沢山いる。


(どぅしよう…)
実際はどうしようもないのだが…。

前の席の人の頭に隠れる感じに小さくなってみる。

しかし、努力も虚しく、再会が終わった同級生の面々が俺を見始める。

その視線を不思議そうに、由美がこっちを見る。


「Σ…としかず」

由美は驚いた表情をしている。

今度、その言葉に驚いたのはナルミだ。

「え…?」

ナルミは俺と由美を交互に見る。


由美はその視線に気付き微妙な顔付きになっていく…。



なんだよ、一体。

忘れられなかった。
ずっと頭にあって、そんな奴が急に現れたら俺…。

嘘だろ、こんな事なら会いたくなかった。

普通にしよ、俺にはナルミが居るんだから。
ナルミが…



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