「あ・・あなたが?」
「そうです。」
有名人のイメージがあったから、ガードマンか何かに守ってもらっているとばかり思っていたが、
それにしても意外だった
「そうは見えなかったです。」
零は微笑んで
「よく言われますよ。」
零はそう言うと、隼人の
持っている手帳を見た。
「報道関係の人ですね」
「あっ、そうです。あのっ・・」
零は隼人に手の平を向けた。
「あいにく、急いでるんです。失礼。」
「あっ、ちょっと!」
零は早足で歩きだした。
隼人は後を追う。
「待って下さいよ!」
「待てません。急いでるんです。」
少しずつ二人の距離がひらく。あんなに重そうな
カバンを持っているのに・・・
隼人は思わず叫んだ。
「なんでもしますから!」
零の足が止まる。
隼人が零にぶつかる。
「いって−」
「何でも、ですか?」
「えっ、はい・・」
まさか食いつくとは・・
「それじゃあ、助手になって下さい。なあに、日本にいる間だけですよ」
「助手!?取材のほうは・・?」
零は微笑んだ。
「もちろん、いいですよ。そのかわり、写真は無しでお願いしますね。」
「よっしゃーっ」
この時の喜びと期待はつかの間のものだった。