「気を失っていた男の人が目を覚ましたみたいなんだ」
そうウェドに知らせたのはタクトだ。
「そうか、あの言葉何なんだ?」
「古代語よ」
パールがその質問に即答してみせた。
「古代語?」
「ああ、確かダイヤが話してたやつかい?」
タクトが思い出すように目を宙に泳がせた。
「ええ、だけど何を話してるのかはさっぱり」
パールがお手上げと両手を上げた時
「へぇ〜、あんたらが俺達を助けてくれたのか」
三人はびくっと後ろを振り向いた。
「なんだよ。なにも死体が動き出した訳じゃないんだ」
先ほどまで気を失っていた男性が、屈託のない笑顔でこちらに視線を向けていた。
「いや〜情けないな〜、まさか海賊なんかに不意を突かれるとはな〜」
今度は、自嘲気味に恥ずかしそうに筋肉質な腕で頭をポリポリと掻き始めた。
「あの〜言葉が分かるんですか?」
タクトが思い切って三人を代表して聞いてみた。
「ああ、俺はエンシェントロックの出身だが、ガキの頃からこっちの言葉も教えられたからな」
男性は流暢な言葉でタクトを驚かせた。
「おっと、悪いな。自己紹介、自己紹介」
男性はコホンと軽く咳をした。
「俺の名前はシルヴァ、こっちはイエル」
イエルと呼ばれた女性は軽く会釈した。
タクトたちもいつもの調子で軽く自己紹介した。
「よし、それでだ」
シルヴァはその場であぐらをかいた。
「助けてくれた礼に何かしたい」
ウェドが口を挟もうとした時
「だが」
シルヴァは深刻な面持ちで続けた。
「こっちにもいろいろ事情があってな。逆に頼みを聞いてほしいんだ」
タクトは頭を傾げた。
「実は、俺達の島は・・・」
シルヴァは自分達の島で起こっていることを、タクトたちに全て話した。
その内容は、島民の奴隷化やルパスの兵士による残酷な島民の扱い等だった。
「ひどい・・・」
話を聞き終えたパールは思わず口元に手を当てていた。
「そこで」
「僕たちをエンシェントロックに連れて行ってくれるんですか」
シルヴァが切り出す前にタクトは身を乗り出していた。
「なんだ?行きたかったのか?」
シルヴァはタクトの態度にとても驚いていた。
「もしあなた達がエンシェントロックに行くのなら、わたしたちも連れて行ってほしいわ」
「決まりだな」
三人は各々の武器を手に取った。