「…ルカさま
この森を抜けなければ
村にはたどり着けないと思います。
全く…リューが船を停めた場所が
悪かったんだ。」
ロランはため息をつき
足場の悪い森の中を歩いた。
「はあ…もっと村の傍で
停めてくれていれば
こんな森を歩かなくてすむのに」
相変わらず無表情のルシーは
何も言わない。
太い木が立ち並ぶ足場の悪い
道ともいえないを道を
しばらく歩いていると
小さな丘にでた。
「うわー何でしょう!
この木の実は?」
ロランが嬉しそうに
不思議な植物に近寄ろうとした。
すると、繁みの中から
突然少女が現れた。
「何者だ!お前ら!」
ロランはびっくりして
しりもちをついた。
少女は構え
いつでも攻撃できる体勢を
とった。
それに対し、とっさに
ルシーも構えた。
ルカはどうしていいか
わからないまま
彼女を見つめた。
うす茶色の長い髪は
無造作に後ろにまとめられ
着ている服は薄汚い布きれで
泥がついていた。
「…あなたは
サニー村の人?」
黙っていたルシーが静かに
尋ねた。
「そうよ。あなたたちは
村の人間じゃないわね!」