あれから何度も考えていた。
三浦さんの事を。
そして漸く決意を堅め、課長の隙をみて彼を呼び出した。
「この間の返事なんですが…」
会社の屋上から見える秋空を背景に、私は切り出したのだった。
彼の髪が、風に揺られると同時に、太陽の反射を受け、煌々と輝く。
「あの………、
ごめんなさいっ…!」
やっと紡ぎ出した私の返事に彼はどんな表情をしてたのだろう。
逆光で判断つかないのもあったけど、直視する勇気が今一つなかった。
けど、フフっと笑う声と共に
「そんなに申し訳なさそうにしないで?」
と言う言葉が降り注がれ、垂れてた頭を上げると、微笑んでいる三浦さんの顔が見てとれた。
や〜、フラれちゃった。と呟くと
「やっぱり彼の事が忘れられないと言った所かな?」
と私の眼を見る。
「いや、それは何と言うか…」
私自身よく分からないのだから、こう答えるしかない。
「うん、わかった。困った事があれば又、相談して?力になれると思う」
「はい…ありがとうございます」
彼の気配りが身に染み、吊られて笑う。
「じゃあ、先に戻りますね」
私の声掛けに軽く手を振り見送ってくれたから、錯覚していたんだろう。
彼が一瞬見せた、陰の部分に、気付く事は出来なかったんだ――