――聖「…じゃあ…
開票…するぞ?」
音楽室に残った9人の視線が
一点に集中する
段ボール箱を逆にすると
小さな折り畳まれた紙が
机に散らばった
聖二が一枚ずつひろげていく
聖「…たく…翼…翼…
たく…」
秋奈が正の字を書いていく
聖「たく…選べない…
たく…翼…どっちも…」
正の字が増えていく
聖「…最後や…
…たく」
全員が顔をあげる
ホワイトボードに並んだ
正の字
聖「拓朗が20…
翼が…21」
拓「…」
聖二は苦い顔をして
拓朗の顔を見たあと
全員を見渡した
聖「勝者は翼…やな」
翼「よっしゃー!!
どうやっ!!!」
翼が立ち上がり
拓朗を指差す
拓「…」
拓朗はただ無表情で
机を見つめていた
聖「翼、あんま調子のんな」
翼「勝ちは勝ちや!」
拓「…わかったわ」
拓朗が立ち上がる
拓「俺は…
このバンドを抜ける」
「「「はあ!!?」」」
全員が目を丸くした。
翼と慶太郎だけは黙って
その様子を眺めていた。
拓「俺はバンドやめる。」