僕は女に拳銃を突き付けたまま、左手で女の肩を掴む。
「願いごと…聞いてくれないのかぁ〜。それとも、焦らしてる?」
女の息が熱い。
この女、酔ってるのか?
女の息は熱く、アルコールの臭いがした。
「バカヤロー!!!」
女はいきなり叫んだ。酔っ払い相手じゃ脅しも効かない。
慌てて女の口を抑える。
仕方なく僕は女の腰を持ち、担ぎあげた。
女は見かけよりも更に、体重という概念そのものが消失してしまったかのように軽かった。
そのおかげで僕は軽々、女を車に乗せることができた。
とりあえず、この場から離れなくては。
僕は女をトランクに押し込み、女の口にガムテープを乱暴にはった。
女は抵抗することもなく、とろん、とした目で僕を見てた。
僕はトランクを閉め、ハンドルを握った。
とりあえず走らせることにした。
人気のない内に、この女をどうするか考えるべきだった。
そう、この女さえ居なければいつものように、二、三日山に篭り、家に帰ることが出来たのに。
そう考えるとやたらに女に腹がたってきた。
女を連れてきてしまった自分にも。
事態はどんどん複雑になってく気がして、僕は煙草に火を点ける。