聖人は、そんな光景を、黙って見ていた――
表情ひとつ――
変えるコトも無く――
『京谷クン。
この3枚目と4枚目の、植物のアップの写真は結局、
違法なモノではないと判断されたはずではないか!!
とにかく、写真は全てニセモノだ!!
うちの息子とは無関係だ!!
それに、なぜ私達親子が、北岡クンに感謝しなくてはならないのだ?!
全く、おかしなコトを言うね、君も!!』
声が裏返るほどに動揺していた森宮の父親の、必死に言い訳をする姿を、
もしも、
学校関係者に見せたなら――
誰が、
教育委員会の教育長であると想像出来ただろうか――
『シラを切るのも、いい加減にしろよ古ダヌキがッッ!!
3枚目と4枚目のクサのアップの写真を、
違法に該当しない“ケナフ”の写真とすり替えて、
博物館の館長サン宛てに送信するコトを提案したのは、
聖人だからだよ!!
なぜだか分かるか?!
そこが、聖人の甘い所だと、俺も思っては、いるのだが、
森宮‥‥テメェをブタ箱に入れさせない為の、ありがたい配慮だと思えッッ!!』
ガクンッッ――
森宮の父親は、
大きく肩を落としたかと思うと、
その息子の隣にひざまずいた――
ジョジョジョジョジョ―ー‐
さっきから、頭を抱え込んだままの森宮の足元から、
黄色い液体が流れ出していた――