デジログ使いと翁の鍵 第8ログ―夢―

白山こっこ  2006-08-07投稿
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第8ログ―夢―\r

活動は明日から、ということで解散した3組はそれぞれ人間の方の家に帰った(ガオウの性格が性格なので、友莉葉はかなり嫌がっていたが)。そして夜、零太の家でランザが自分の家のようにゴロゴロとし始めたころ。
チャラリチャラッチャラッチャラッチャラン♪
ピッ…
「もしもし…」
零太の携帯の着信メロディが鳴り、彼はそれに出る。
『もしもし、零太?』
電話の向こうの声は、友莉葉のものだ。
「友莉葉…どうした、こんな遅くに?」
『あの…さ、これからさ、私達って戦わなきゃなんだよね?』
「…ああ」
やはり、零太の予想どおりだった。この友莉葉が他人に暴力なんて奮えるはずがない。
「心配すんな。お前がヤバかったら俺がどうにかするし。だから…」
『ううん、違うの。私…ね、頑張ってみようと思うの…修行』
「えっ…」
信じられない。彼女にとっては、ブレーキの効かない自転車かハンドルの効かない自転車を選ばせられるような決断の筈だが。
「おい、無理しなくても良いんだぜ?そんなことが、俺には兎も角お前に…」
『あのね、私、学校でもいつも零太に助けられっ放しじゃない。だからもう足手まといになりたくないっていうか…それに、もし願いが叶ったら、零太、あれ…お願いするんでしょ?力になりたいから…』
「…」
零太は言葉が出なかった。友莉葉には、何もかも見透かされていたということか。ふうっと溜め息を吐き、零太は口を開いた。
「…ありがとよ…でも、無理はすんじゃねぇぞ。ガオウも少しぐらいは頼れる筈だしな」
『…うん、ありがとう!頑張るよ!』
「じゃあ、切るぞ」
『あっ、ちょっと待って!あ、あのね…私…』
「?」
『…やっぱり何でもない。じゃあねっ…』
プツッ。
ツーッツーッツーッ…
慌てていたらしい友莉葉は電話を言葉が終るか終らないかぐらいで切った。零太は驚いたが、あまり追及はしない。その後、疲れたようにゴロン、と横になった零太はそのまま眠りについた。


その後彼は、夢を見る。
届きそうで、届かない。何か大切なものだとは分かるのだが、掴めない。それは美しく、はかなく、触りたいけど触れない。自分はそれに触る価値もない、そう言われているような夢。
「…た」
聞き覚えのある声だ。
「…れ…た」
声は大きくなる。
「零太殿!」
「うっ…」
はっきり聞き取れるようになった声に、彼は目を覚ました。



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