リレー小説「隣の男の子」3章1話:木村蜜実

木村蜜実  2009-10-28投稿
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3章 1話



「なんでそんな電話の出方なんですかっ!!もう少しゆっくり丁寧に話さないと失礼ですよっ!!」
さっきとはだいぶ違う、強気な態度を取るサツキ…。

「ごめんね…てゆうか、サツキちゃん急に怖くなったね…。」
民生は冷や汗をかきながら呟く。

「そうですか?そんなことないですよ!…ちゃんとマニュアル見て下さい!」
自分でもわかっていた。
さっきとはまるっきり態度が違う事を…。

会長の息子だなんて…。

意識を強く持って教育(?)しなきゃ…。

サツキは一生懸命にいろいろ教える。

しばらくすると、民生は急に立ち上がり、サツキの方を向く。

「…なんですか?」
不満そうな顔をして、サツキは民生を見る。
別に睨んでる訳ではないが、民生にはそう見える。

「ちょっと休もう。」
そう言ってサツキの手を引っ張る。
時計を見ると、もう12時を過ぎていた。

「…そうですね。少し休みましょう。」
そのまま外へ向かう。

引っ張る力が強く、サツキは自然と早歩きになる。
社内で手を引かれスタスタと歩く姿にすれ違う社員は振り向く。

「民生さん!痛いです!!」
手を振り払い、思わず睨みつけた。

民生は振り返り、
「なんか不満でもあるの?」
と強い口調で問い掛ける。

「ふ…不満なんて…。」
(あるわけないじゃん…。)
俯き横を向くサツキ。

そっと肩を掴み、民生はサツキを見つめた。

「怒鳴ってごめん。でも、不満があるなら言ってくれないかな?…仕事しずらい…。」
民生の切なそうな顔に、サツキは胸が痛くなる。

「あたし…なんだか訳わからなくて…。ごめんなさい…。あんな態度取ってしまって。」
出会ってまだ2日なのに、なんか…どう表現したらいいかわからない想い…。
サツキにとって、複雑な気持ち。

民生はサツキの表情を見て、
「…だよね。僕の方こそごめんね。」
肩を掴んでいた手はゆっくりと離れ、民生はサツキの手を握った。

「とりあえず、何か食べて、ゆっくり教えてもらうよ。行こう。」
さっきより優しい触れかた…。

(なんか…よくわかんない人だなぁ…。)
サツキは頭の中で呟いた。

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