みんな一斉に身構える。
じりじりと近づくと、キマイラはモイライの足に噛み付いた。
「お母さん!!」
奈々が慌ててモイライに近づく。
キマイラはそのままモイライを投げ飛ばす。
遠くで動かないモイライ…。
「…どう…なったんだ?」
僕はモイライをじっと見る。
動かない…。
「死神サマ…。お母さんは…?」
「………切れてしまったよ。糸が…。」
言いにくい言葉…。
死神は、奈々と目を合わさず呟く。
「……いや。お母さんっ!!」
奈々がモイライの元へ走った。
それを引き止めるライアン。
これ以上…。
奈々を怖い目に合わせたくない…。
そう思っているんだろう…。
「ライアン!離してよっ!」
「お前が行っちゃダメだっ!!…俺達でやる!」
僕の顔を見て、そう言う。
僕は静かに頷き、真っ直ぐ前を向く。
「一人残ラズ…。消シテヤル…。」
キマイラの妖力がぐんと上がった。
「あたしも行く!!」
エリンが僕の尻尾を引っ張り叫ぶ。
「イテッ!尻尾は触るなよ…。」
潤んだ瞳…。
一緒に闘いたい…。
僕の事を強い眼差しで見つめる。
僕は、エリンの頬を優しく舐めた。
「俺達に任せろ。大事な姫様達には、もう指一本触れさせねぇ…。俺を信じろ…。」
エリンはその場に座り込み、僕の頭を撫でた。
「………うん。いい子で待ってる♪」
そして頬に唇を優しくつける。
「あの…やっぱり俺も行かなきゃダメ…?」
いじいじしながら、僕に問い掛ける死神。
それを見て、親父は死神の襟元をつかんで…
「イヤとは言わねぇよな…。お前もSクラスだったよなぁ…?」
(こわ………あれが親父だなんて思いたくない………。)
「やだなぁ…レン。むきになることないぢゃ〜ん。冗談だよぉ〜。」
「よっしゃ〜妖力高めろ!!『禁断の魔力』使え!!」
僕も
ライアンも
死神も………
そして親父も。
妖力を高め、呪文を唱える。
「ナッ…禁断ノ魔力ダト?!」
あわてふためくキマイラは、攻撃をしようとした…
だが………
「ちょっと!!いい子で待ってないとダメなんだから!邪魔しないでよ!!」
エリンは変身をして踏み付ける。同時に、奈々もキマイラの動きを止めた…。