陽光の届かぬ空の下
月光の届く空の下
蒼が見えぬ空の下
黒が見える空の下
春風の吹かぬ山の上
北風の吹く山の上
島の見えぬ海の上
波の見える海の上
黒いウインドブレーカー
闇に溶け込むのを恐れて
街頭の下へ駆け出した
そこには あの人がいて
静かに微笑んでいた
「どうかしたの?」
そんな言葉を添えて
陽光の届かぬ空の下
春風の吹かぬ山の上
島の見えぬ海の上
黒いウインドブレーカー
闇に溶け込むのをやめて
はっきりと形を見せた
あたしは
へたくそな笑い顔で言う
「ちょっと
転んだだけだよ」