毎日にイライラして
ずっと苦しんでいた
私の日常は
ストレスばかりが溜まっていく
誰にも話さず
助けてもらわず
たった一人で頑張る
それが「私」だ
「ハル!」
私を呼ぶ声が聞こえた。
高校の中で一番仲のいい友達。リンだった。
「おはよう」
柔らかい笑顔を相手に向ける。相手は軽く頭を下げて挨拶を返す。
それがいつもの風景だ。
部活を通して、私とリンは仲良くなった。
似た者同士。そんな言葉がぴったりだった。
考え方も、話の流れ方も、私とリンには共通している部分が多かった。
けれど、たった一つだけ、決定的に違う部分があった。
――リンは、かなりワガママな人間だ。
リンも私も、ワガママで自分の意見を押し付けるような人間は大嫌いだった。
リンの周りには、現にそんな人いたが、リンと全く仲が良くなかった。
だけど、私から見ればリンだって同じだと思った。
例えば、こんな会話からも読み取れる。
「ねーねー。一緒に保健室行こうよ」
「やだよ。英語の予習したいんだもん。リン一人で行きなよ」
「えー。別に予習なんかしなくったっていいじゃん。行こうよー」
「やだって。いつも一人で行ってるじゃん」
「朝は一人で行きたくないの」
「面倒くさい」
「ハルが行かないんなら行くのやめるー」
そうやって毎日ついてくるからいい迷惑だ。
なのに保健室に近づくと、
「ハルー。おなか痛ーい」
と言って私が保健室に行くように仕向ける。
――私は、リンのそういう所が大嫌いだった。
昔いじめられていた事のある私は、基本的に人に優しくするようにしていた。
自分がいじめられていた苦しみを、今でもはっきり覚えているからだ。
でも、リンみたいに私が自分についていくのが当たり前だと思っている人間は、大嫌いだ。
つまり、自分のする行動の中には、私の意見を無視した近未来が出来上がっているということだ。
最近では、リンに会う度に機嫌が悪くなる。
なのにリンは、自分のせいだと思っていない。
リンの口癖は、ハルがするなら、ハルが行くなら、ハルがしないから、だ。
一方的に嫌う私も悪いと思う。
だが私には、リンを突き放せない理由があった。
――リンは、自律神経失調症だ。