「アンソニー…」
初めは信じられないという様子でそのアンソニーという男を見つめていたが、次第にその口元は緩んでいく…。
「ふっ。7年振りか?」
確かな記憶を下に、スティーブはそう尋ねた。
「そんな事より、覚えているよな?
あの時の事を…」
そう尋ねたアンソニーの目つきは、段々と鋭い物となっていく…。
そして、彼の握り締めた拳が震えているのをスティーブは見逃さなかった。
「ああ。7年前…。俺がまだ17の頃だったな。
その頃の俺は、賞金稼ぎの親父と共に旅をしていた…。
そう、犯罪者を捕まえながらな。そしてその旅の中での親父の1つの目標…。
それは、お前の父親であるディアスの麻薬王アラムを捕まえる事。
その為に俺達はロシアへと渡り、アラムの居場所を突き止め、そして奴を襲撃した……」
次の瞬間、アンソニーの力強い声が彼の言葉を遮る。
「そうだ!! 俺達を襲撃した!
何の前ぶれもなくな! だがそれでも親父は戦った。
血だらけになりながらも、親父は俺を守ろうと必死に戦っていた…。
そして、何とか俺を連れてアジトから逃げ出したのは良いが、お前の親父は容赦なく俺達に追い討ちをかけてきた…。
ふっ。それからだ…。親父が、俺を守る為に最後の力を振り絞り、お前の親父を追い詰めた時…。
お前は持っていた銃の引き金を引き、親父を簡単に…簡単に殺しやがった…!!」
アンソニーは怒りを露わにしながら、周囲にいる部下達に目で軽く合図をする…。
「!?」
その時、スティーブの後頭部を重い衝撃が襲った…。
続く