「彼女とは…1週間くらいしか付き合ってなくて…」
新は俯きながら言葉を続ける。
「彼女からずっと付き合ってほしいって言われてたんだ…でも断り続けてて…。でも、あの日、真理さんに振られた日に…また彼女から連絡あって…」
私は黙って新の話を聞いている。
「…彼女と付き合ったら、真理さんのこと考えなくなるのかなって思って…」
新は私の方を見ようとせず、俯いたまま。
…新が、すごく愛おしく感じる。
「でも結局ダメだった。彼女といても真理さんのことばかり考えてた。…彼女に対して、悪いことしたって思ってるよ…。傷つけちゃった…」
悲しそうな顔で俯く新を見ていたら、愛おしくてたまらなくなった。
「新…」
私はそっと新にキスをした。
新とキスをするのは、私が酔っぱらっていた時以来だった。
映画館の人混みの中、周りはうるさく、ざわついている。
唇を離すと、新は顔を赤くして、恥ずかしそうに私を見た。
「こ…こんなところで…」
「新にキスしたくなったから」
私は新を見つめ、言葉を続けた。
「好きよ。新」
続く