――いつもの公園
拓朗は草むらにあぐらをかいて
座った
その様子を光希は立ったまま
見下ろしていた
拓「で?」
先ほどとは違い
拓朗は強気な感じだ
光「“で?”じゃないわ!!」
その様子に光希も負けずに
返した
光「辞めたつもり?バンド。
誰もあんたが抜けたなんて
思ってへんからっ!」
拓朗の顔が険しくなる
拓「…やめた
俺なんか別に何もできねえのに
無理矢理入れてもらったような
もんだし。」
光「何、すねてんの
あんたはそれでいいん?」
拓「…ええねん」
光「…わかったわ…
翼の言う通りやな」
拓「は?」
光「あんたの音楽なんて
そんなもんやっ!!!」
光希の声がさらに大きくなった
拓朗は顔をあげ
光希を睨む
拓「どうせ、俺は
歌うことしかできひいん!
知識もない!楽器もできひん!」
光「そんなことちゃう!!
あんたの
“音楽に対する気持ち”や!」
拓朗は光希を睨んだままだった
光「拓朗!」
拓「…うるせーよ」
拓朗は腕で顔を覆い
草むらに倒れた
拓「…ええねん!
俺は…」