木の葉が舞い散る
この小径を
小走りで通り過ぎる
わたしの息は白く
首にふわりと巻いた
マフラーさえ
ひらひらと
舞い降りる
木の葉たちを
まるで
こまねいて
いるかのように
舞い上がる
あの日
きみが言ったんだ
“赤い実見つけた”
木の葉が舞い散る
この丘で
小走りで
きみと走った
あの日は遠く
胸に刻み込まれた
古い記憶さえ
ほろほろと
流れ落ちる
涙の粒で
まるで
洗い流そうと
するかのように
よみがえる
あの日
きみは飛んだんだ
“待ってて
もう少しで
取れるから”
わたしは
今
生きている
きみからもらった
勇気の実を
わたしは
大切に
大切に
してゆきます
ふと見上げた空に
あの日のきみが
微笑んでいる
ような気がした