デジログ使いと翁の鍵 第9ログ―目標―

白山こっこ  2006-08-07投稿
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第9ログ―目標―\r

「零太殿、相当うなされてましたよ?大丈夫ですか…?」
やはりあの夢を見てのことだろう。ランザが起こしてくれて良かった…。あのままでは脱水症状を起こす程汗をかいていただろうということが、自分でもわかる。その証拠に、服がぴったりと肌にくっついていた。
「大丈夫。ちょっと変な夢見ただけだ…ふー…」「汗ほんとに凄いですよ?…あ、もしかしたら…」
とランザが顎に手をあて、考える仕草をする。
「もしかしたら、何だ…?」
「もしかしたら零太殿は、誰かに目標(ターゲット)にされているのでは…?」
「目標?」
零太は首を傾げた。
つまり、それは、そういうことか。誰かに命を狙われていると…
「ああ、いえ、違うんです。要するに、修行の内容は他のデジログ使いを多く殺すことですから。まあ戦いの相手候補として零太殿をあげている奴がいるってことですよ」見るだけで言いたいことがわかったらしく、解説するランザ。零太はやはり首を傾げる。
「…他人から戦いを仕掛けられるのは初めてだな…」
「…あ、確かにあなた学校では暴れてた様ですしね。でも…この修行はそんなに生易しいものじゃあありませんよ?」
まあそうだろう。なんたって殺し合いだもんな。零太は考えた。自分は死なないとはいえ、俺のせいでこいつが死んだら無茶苦茶寝付き悪いだろうな…しかも大切な人の記憶を忘れるのは痛い。家族か誰かだろうが、失いたい人などはいない。
「ふん…ま、いーか…どーせ逃げられる事じゃねえし」
「それより、先程零太の母殿がここに来て『降りて来ないと晩ご飯抜くぞ』て言いましたが。」
「げっ…お前、隠れただろうな?」
「もちろん」
まあ晩ご飯はいいか。どうせお袋は作った直後に仕事行っただろうから、テーブルに置きっ放しの筈だ。
「じゃあ食って寝るか…もう遅いし…お前、なんか食う?」
「あ、はい。いただきます」
そして二人は一階へ降り、冷めた夕飯を食べる。しかしどうやらランザの口に合う物はなかったらしく、とくに納豆は嫌がっていた。やはりこちらとあちらでは食べる物も違うのだろうか。
寝る時はランザが自分から押し入れを望んだ。一応零太は「ドラえ○んかよ!」と突っ込んだが、異邦人に分かる筈がない。というか分かって欲しくない。
「じゃ…寝る」
「あ、はい」
部屋を豆電球の明るさにし、零太は二度目の眠りについた。

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