第3章
第2話
お昼御飯を食べたサツキは少し冷静になった。
怒りも落ち着いて午後の仕事に迎えた。
民夫の仕事の吸収はすごかった。
1回言えば素直に覚える。
いきなり部長になるだけはある。
ただの御曹司の息子ではなかった。
サツキは思った。
(周りからの期待に答えるのも大変だよね。)
そう思うと自然と民夫に優しくできた。
そして1日の仕事が終わると
「帰ろうか」
と民夫が笑顔で言った。
サツキはもう民夫にぞっこん!としか言いようがなかった。
時間は夜7時。
少し残業になってしまった。
会社の人もほとんど帰っていて人も少なかった。
2人とも支度ができると民夫は迷わずサツキの手からサツキのバックを持ってサツキの手を握った。
サツキは慌てて
「ここは会社です!」
と手を振り払う。
民夫は
「だから?
仕事も終わったよからいいでしょ?
公認なんだしね♪」
サツキは民夫の言葉より笑顔に負けて手を民夫に預けた。
サツキの顔は真っ赤だ。
民夫は平然と会社を出た。
その間の視線を全く気にすることなく。
サツキは慣れないことにドキドキして俯いていた。
マンションの部屋の前までくると
「着替えておいで。
夕食の準備して待っているから。」
民夫はそう言った。
(本当は私が用意するのが普通?)
とサツキは思いながら
「はい。」
と言って自分の部屋に入って行った。
サツキはどうしても民夫の言うように行動してしまう。
惚れている。
理由はそれだけで充分だった。
1時間後、サツキはお風呂にも入って民夫の部屋へ。
すると民夫は
「家賃も勿体ないし一緒に住もうか?」
またまた突拍子のない民夫の意見にサツキは目が点になった。