私と新はホラーでも何でもない、ドキュメンタリー映画を選び、席に着いた。
劇場内が暗くなり、映画が始まる。
真っ暗に、なった。
新の手に、自分の手を重ねる。
胸の鼓動が速くなる。
新がそっと私に顔を近づけてきた。
「…真理さん……キス、していい?」
私の耳元で、新が小声で言った。
「こんなところで?」
私も小声で返事する。
新は黙ってしまった。
「嘘。さっきのお返し」
私は小さく笑って、新の頬をなでる。
劇場内は暗く、映像が映し出されているスクリーンの明かりで、新の顔はうっすらと見える程度だ。
「…真理さんに、キス、したくなった…」
新の吐く息を、耳元に感じる。
「新、新は私に何してもいいの…」
新はゆっくりと唇を重ねてきた。
軽く、壊れものでも扱うような、優しい、キス。
それだけで、頭がクラクラする程の幸福感が私を襲った。
その後もキス、キス、キス…
私と新は、映画が終わるまで…ずっとキスし続けた。
続く