君の残像

ふく  2009-11-01投稿
閲覧数[381] 良い投票[0] 悪い投票[0]

あんなに近くにいたのに
側でいつも笑っていてくれたのに
僕は君の気持ちを何も分かってやれなかった

『やっぱりお前は最高の友達だよ』
そう言った時君は悲しそうな目をして笑った
その訳を分からずにいた

僕の事を一番に考えてくれた
親身になって話を聞いてくれた
僕が振られた時はそっと肩を叩いて泣いてくれた
それでも諦めず頑張れたのは君が『大丈夫』と言って背中を押してくれたから
暗い世界からまたはい上がれたのも
前へ進めたのも君がいてくれたから

僕の恋が実った時
君は僕よりも喜んでくれた
『貴方のいい所は私が一番知ってるんだから、貴方を好きにならない訳がない』といたずらに笑って君はまた泣いていた
嬉し泣きなんだと思っていた
だから僕も君から貰い泣きをした

今目の前にいる女性は僕がずっと思い続けて来た人
綺麗で清楚で明るくて僕には勿体ない位で
想いが届いた時は胸が張り裂けそうな位に嬉しかった

『あいつはお前の事ずっと好きだったんだよ』と友人から聞かされたのは僕が彼女と付き合い始めてからだった
『そうだったのか』と一つ返事をしただけだった
動揺を隠す様にそれ以上は触れなかった

君は何を思っていたのだろう
僕が振られた時どんな思いで泣いたのだろう
僕が彼女を手に入れた時どんな思いで泣いたのだろう
今君は一人で泣いてないだろうか

彼女が笑う顔は言い様のない位で
見ているだけで幸せになれるのに
何故か君の残像が過ぎるんだ
君の子供の様な笑顔が重なってそこに映る
彼女の声は透き通っていて
僕の耳に心地好く響くのに
何故か君の鼻に掛かった声が愛おしくてたまらなくなる

『どうしたの』と彼女が聞く
『なんで』と聞き返す
『心此処にあらずって感じ』
そう言って彼女が不安な表情を浮かべるから僕は彼女を抱きしめた
君への想いから逃避する様に
僕の中に湧き出る靄をごまかす様に



投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ふく 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ