「はぁ〜、腹へった〜…」
言ってみたものの当然返事はない。
というのも、この小さな牢に一人だからだ。
「んっ?」
扉の向こうから近付いてくる足音が聞こえる。
「あと、36秒」
どうやら、看守だけではなさそうだ。朝食にもまだ早い。
「3、2、1」
ドンドンドン!
扉を叩く音。
「ぴったり♪」
ドンドンドン!
まだ、叩いてる。
「お〜い、近所迷惑だぞ」
「アヴァロン・ミラーだな」
と、扉の向こう側から男の声。
「さぁね、ここじゃ3645って呼ばれてるぞ」
「アヴァロン・ミラーだな」
同じ質問。
「あぁ、そんな名だったな」
少しの沈黙。
「なんのようだ」
素っ気なく言ってみる。
「ここから出たいか」
変なことを聞くもんだ。
「たしか、俺は永久投獄じゃなかったか?」
「そうだ」
「じゃ、なんで…」「なんでそんなことを言うのか。か?」先に言われた。
「あぁ、そうだ」
少しムッとした。
「残念ながら、君はこの国では反逆者だ」
「そうだね〜」
「国王は君を手放すことを決めた」
「はっ?」
なんでそうなる!!
「あ〜、いまいち状況が理解出来ないんだが」
「君の選択肢は、一生をここで過ごすか。私に雇われるかだ」
こいつは人の話聞いてんのか!
「雇われるって、何すんだよ」
「まず、やるかやらないかだ」
頭痛くなってきた。
「何を言っても無駄か…」
はぁ〜、ここに居ても死ぬだけだし。
しょうがねーな。
「やってやるよ」
半分やけくそだ。
ガチャガチャ!
扉が開く、そこにやたら小綺麗な顔の男と看守。
「出ろ」
無表情の男と疲れ顔の看守。
出てすぐ談話室に連れられた。
暖かいのはいい、ただ
「なぁ、腹へったんだけど」
嫌そうな顔で看守に話しかけてる。
少しして暖かいご飯が運ばれてきた。
「君にはまず、私の設立した小隊の指揮をしてもらう」
なるほど。
「つまり、隊長をやれってんだな」
「そうだ、好きにしていい」
「じゃあ、隊員をクビにしてもいいのか?」
「必要とあらば。」
「へぇ〜」
「しかし、結果をだして貰わなければ困る」
「オッケ〜、理解した」
「よろしい、それを食べ終わったら発つぞ」
「へいへい…あっ、隊員の情報は?」
「ここに」
うーん、癖ありそうな奴ばっか……
まぁ、なんとかなりそうだな。