俺は彩菜の買い物に行くために家から3時間もかかるあやしいゲーム専門店にやってきた。
ガチャ…
ドアを開けた俺は一瞬、気を失いそうだった。
「なんなんだ…この店…」
外の外装からはまるで想像ができないくらい萌えフィギュアや美少女ゲームがところ狭しと並んでいる。
こういうのに耐性の無い俺からしたら、今すぐにここから出ないと何かを失いそうなくらいだった。
「いらっしゃい、何がほしいの?」
いつの間にかに前に来ていた店員さん…というか俺と同年代ぐらいの髪の短い女の子が聞いてきた。
「あの…これを…」
俺は彩菜から渡された雑誌を見せた。
「あぁ…これね。…ってことはあなた、彩菜の…。ちょっと待ってて。今持ってくるから。」
そう言って少女は店の奥に行ってしまった。
「あの子、今彩菜の名前を…まぁ、気のせいだろ…」
バタバタッ
「お待たせっ!!はぃ、これで全部ね。代金は…」
俺は少女にお金を渡した。
そして、少女はまた店の奥に行こうとした。
「待て…!!」
「ん?なに?」
少女は振り返った。
「これ、R18指定だろ?未成年に売って平気なのかよ。」
「…平気。彩菜だから。」
「お前、彩菜のこと…」
俺は少女の手をつかんだ。
「彩菜が中学2年だって知ってるよ、同い年だもん。今は親いないから店番してるけど。私、沙夜(さや)、よろしくね。」
少女…沙夜はにこにこしている。
「よろしくね…って…俺は桜木唯斗(さくらぎ ゆいと)だ。」
とりあえず俺も名前を言っといた。
「唯斗くんね、覚えたよ。彩菜によろしくね。」
「あぁ。」
そう言って俺は店から出た。
1つの疑問符を持ったまま。
“あの子と彩菜は知り合い。そして彩菜は店を指定したぐらいだから、あの子がいる事ぐらい知ってるはずだ、未成年の俺にR18指定のゲームを売ってもくれた。って事は、俺にわざわざ行かせなくても自分で買えたはずだ。でも、彩菜は自分では行こうとはしなかった。何があるんだ?あの子…沙夜と彩菜に”
それだけはどうしても解けずに家に着くまでの3時間、俺を悩ませた。