溺れる魚 20

ゆう  2009-11-04投稿
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新が、私たちのことを誰かに話すわけない。

やっぱりどこかで見られたんだ…



新… 新と話したい。





ピンポーン♪

夜の11時に家のチャイムが鳴った。


今日のFAX騒ぎ、女の子からの電話があった為、私は恐る恐るドアに近づいた。



ドアの穴から覗くと…


そこには新が立っていた。


「新!」

私は思いきり新を抱きしめた。

「真理さん…ごめん。ずっと連絡できなくて…」
新も私を強く抱きしめた。

「新、大丈夫なの?こんな時間に…」

「平気。お母さんにはバレてないから…」


部屋に入り、ふたりで腰を下ろすと、新はこの5日間のことを話し始めた。

「実は…元カノが…俺と真理さんを映画館で見たらしくて…」

やっぱり…

「ごめん。地元から離れたつもりだったから…。あんなところでキスなんてするんじゃなかったわね…」

「俺と真理さんは、間違ったことしてないよ…。俺が真理さんを好きなんだ」

新はまっすぐに私を見つめ、はっきりと言った。
「ただ、彼女が…自分ともう一度付き合わないと、親とか学校に言うって…」

「脅してきてるのね」

「そんな感じ…。それで携帯も取り上げられたり、行動を監視されたり…」

「そんな事になってたなんて…」

「それで…考えたんだけど…」

新は真剣な表情で言葉を続けた。


「お母さんに、俺と真理さんのこと…話してみたらどうかなって…」



続く

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