何が起こった?
俺がポイントをとった。
でも俺は倒れてる。
「抑え込みー!!」
審判の声で目が覚めた。
寝技で返されたのか!!
修二はようやく気付いた。だがすでに完全に抑え込まれている。
30秒抑え込まれたら、敗けだ。
クソッ!!
外れろ!!
こんなんで敗けられるかよ。
ポイント勝ち越したのに。こんなあっけなく終われねえんだ!!
修二は全力で抵抗する。
しかし、相手は市瀬だ。
名門のエースからは隙がうかがえない。
22秒。
もう8秒をきっている。
倒れている姿勢なのに周りがよく見える。
観客席は…。
見えないようだ。倒れている位置とは反対なのだろう。
試合畳のすぐ側にも観客は立っている。
「手ぇあいてんぞ!!こんなとこで止まんなや!!」
修二の頭にその声が聞こえた。
バッ!!
本当に腕が外せた。
いける!!
グッ!
まだか。
外せねぇ。
まだ耳に言葉が残っている。
もう一回だ!!
グッ!
外れろぉ!!
「抑え込み解けたー!!」
うちの部員の声が重なる。
「タイマー!!」
審判の声。
「28秒です!」
タイマー係りの声。
「待て。」
両者が定位置に戻った。
聞き覚えのある声だった。
そうか。
見てたんじゃねぇか。
そりゃ試合のことも知ってるよな。
「技有り1つです。」
審判の声。
今度は追う番だな。
こっからだ。