和樹とあたしは
近所に住んでて
小学校に入る前から
ずーっと仲良しやった。
泣き虫なあたしのそばで
あいつはいっつも笑ってた。
あたしは今、17歳。
高校3年生。
和樹も多分、17歳。
でも、あたしは
あいつが今、
どこで何をやっているのか
何も知らない。
今のあたしに恋なんていらない。
そんなものより
あたしには夢があるから。
なのに―\r
「なーんーでっ?!
なんでバンド解散なん?!」
「しゃあないやん。
受験生やし…」
放課後の教室。
散々あたしの愚痴を聞かされた
剛は呆れた顔で
ため息とともに答えた。
これをさっきから
あたし達は
何度も繰り返している。
「また別のバンド組めば
ええやん」
「うちは、あのバンドで
やっていけるって
思ったの!!なのに!」
「やっていけるって…
こんなバンドでプロなんかに
なれるわけないやん?
そんなん考えてんの、
真央だけやって。」
「…」
悔しさで涙が出そうになる。
なんであたしはこんなに
泣き虫なんやろ
「…」
気まずい空気が流れた。
「お前ら、ここにおったんか」
教室のドアが開き
入ってきたのは翔ちゃんやった