?:「おっはよ〜!」
朝早くからハイテンションな彼女は、鈴木千夏(すずきちか)。
美華と同じA組のクラスメート。
美華:「おはよう。」
美華は笑顔で返す。
千夏:「朝っぱらから体育とかマジないよね〜。」
今日は授業がない。
本当は ない ことはないのだが、クラスオリエンテーション ということで、A組はサッカーをすることになっていた。
美華:「そう?サッカー楽しいじゃん。」
いつもニコニコしている美華だが、今日は一段と楽しそうに見えた。
千夏:「美華、何がそんなに楽しいの?」
美華:「ん〜…後になったらわかるよ(笑)。」
何かを企んでいるかのように、美華は笑いながら更衣室へ向かった。
先生:「今日はクラスオリエンテーションだー!思いっきり遊んで良いぞー!」
こんな呑気なことができるのも、大学までエスカレーターな学校だからこそ。
先生:「女子はサッカーということだが、男子は何をするか決めたのかー?」
男子:「とりあえず鬼ごっこで良くねー?」
先生の問いかけに男子生徒の一人が応えた。
美華:(こういうところは男女差を感じるのよね〜。)
美華だけでなく、女子の大半がそう思っているだろう。
先生:「わかった。じゃあ、各自初めて良いぞー。」
千夏:「チーム分けどうするー?」
女子:「グッパーで良くない?」
女子生徒は全部で12人。これを2チームに分けるので、1チーム6人になる。
結局、7回目でやっと分かれた。
千夏と美華は同じチームになった。
千夏:「頑張ろ〜!」
千夏の後に続いてみんなが気合いを入れた。
のだが美華はというと、ボールで遊んでいた。
美華:(こういう暑苦しいの苦手なのよね〜…。)
あまりにもドライだと俗に言う KY になってしまうので、程良く空気に溶け込んでいるのだが。
先生のホイッスルが鳴り、試合が開始された。
最初は美華たちの相手グループのボールだ。
ちょこちょこと積極性のないサッカーが始まった。