「隣の男の子」3章4話
緊迫した空気…
民生はサツキの顔をじっと見る。
「嘘だと思うのは仕方ないかもだけど…何て言うか…一目惚れ?サツキちゃん…優しいカンジがするし…少ししか一緒にいないけど…凄く安心するんだ…。こんな気持ちは始めてで…。恥ずかしい話しだけど、始めて好きって気持ちがわかった気がするんだ…。」
眉間にシワを寄せて、民生は照れながら話す。
サツキにとっても、同じ気持ちだった…。
サツキは胸が熱くなり、民生の手をそっとにぎりしめた…。
「あたしも…同じ気持ちだった…。でも、あたしと民生さんじゃ釣り合わないと思って…。」
涙を流すサツキ…。
苦しくなる恋心…。
二人は見つめ合う…。
何も言わなくても、お互いが理解し合える瞬間…。
心が重なる瞬間…。
タクシーの中だって事も忘れ、恥じらいもなく、二人の世界が漂う。
「邪魔してごめんね…。着いたんだけど…。」
運転手さんは照れながら話し掛ける。
慌てて二人は離れ、タクシーを降りた。
外は少し冷える…。
けど、
二人は何故か温かかった。
にぎりしめる手はとても汗ばんでいた…。
「僕を信じて…。」
民生はそう呟くと、そっと唇を重ねた。
信じたい…。
信じてあげたい…。
サツキの心の中は喜びで溢れていた…。
民生の実家の前…。
月の輝きで、二人の瞳が輝く。
ほんの少しの想いが…。
こんなにも早く…。
こんなにも強く…。
結ばれる…。
信じてあげられる…。
サツキは心からそう思った。
続く………。