最後の挑戦

たに  2009-11-07投稿
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1994年・夏、10代最後の歳になった私は、昼は専門学校の映画科へ通い、夕方は地元のレンタルビデオ店でバイト…という生活に付け加え、普通自動車免許の取得という、三重生活がはじまった、

バイトの稼ぎは教習費に消え、映画を観たり友人と遊ぶにも、時間と金の都合でままならない時が多々あった。

…翌年春、普通車を取得し、気持ちや懐に多少の余裕を感じた私は、モチベーションが好奇心を後押しする感じの勢いで、中型自二車免許も取得したが、こうも考えていた、

ハタチを過ぎたら手間や金のかかる習い事はしない、自宅と好きな仕事を往復するだけで充分だ!…と

…ところで、ある経済の本によると、26才の法則というのがある、皆がそうではないだろうが、人が社会に出て自立し、経済的に余裕が出てくると、少年時代にハマったものを買い戻す傾向があるというのだ、

私の場合は、2006年の冬、31才でその法則があてはまった、ただし、満たしたかったのは物欲ではなく、またもや好奇心だった。

2007年の年明け早々・池袋、私は、小銭を握りしめて駄菓子屋へ行く子供のように(笑)現金十数万円を手に、某ダイビングスクールへ向かった、

専門卒業以後、私の仕事は、映画やテレビのロケ現場での技術スタッフだ、学科のテキストはいつでも読めるが、実技講習の為のまとまった休みを取るのは、難しそうだった…。

まずはプールでの講習、本来は二日間に分けける内容なのだが、休みが取りづらい私は、丸一日でやることにした、

ダイビングは、免許制ではなく、講習の修了を経てできるものである、テストはあるが試験ではない、本当に時間と金とやる気の問題なのだ。

2007年の春、静岡県尾瀬崎、初心者ダイバーのメッカでの、二日間の海洋講習、さすがにこればかりはまとまった休みを取った、

プール講習で、自らの体力の衰えを知った私(笑)は、早く終えることばかりを望んでいた、

インストラクターの指示従い、水辺に足を踏み入れ沖へ…、足が地から離れ、水中を覗いた、

…なるほど、面白い、やってみてよかった!

…翌日の二度目の最終ダイブ、まだまだ当然ぎごちなさはあるものの、海底での浮遊を楽しんでいた私の目の前に、

講習修了、おめでとうございます。

と書かれたメッセージボードが提示された♪



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