「1000年前、ジアースには二つの種族がありました…もちろんファインとヴィケッドではありませんよ?シエンさん。」
「なんでボクなのさ!?」
「そりゃお前が馬鹿だからだろ。」
「ムキーッ!!十夜に言われたくないよ!!」
「……だまれ…………」
すごく小さいのになぜか頭に響くリオの声。
「「…ごめんなさい…」」
「…すいません…シエンさん……そういうつもりで言ったのではなかったのですが…」
本当にすまなそうに言うラン。
「いいよいいよ♪そんなの…(これじゃあボクが悪者みたいじゃん!!)」
「本当にすいません……話を続けますね。その二つの種族は、地上人ルェン、天上人シュエと言います。」
「空!?人住めるの!?」
シエンが驚くと、
「天上人の文化は著しく発達していたんです。…続けますね。ある日、天上人は地上を治めている二つの大国の王を天上都市シュエ・ホンデェに招きました。地上との交流がしたかったのです。天上都市シュエ・ホンデェを見た国王達は驚きました。こんな文化があったのか…と。そして思ったのです。」
ごくり。
「――欲しい――と。すると天上人は言いました。
《戦え。勝者にはそれ相応のものを。敗者にもそれ相応のものを。》
これが…戦争の始まりです。」
「で、勝敗はどうなったんだ?」
単刀直入に十夜が尋ねる。ながれる沈黙。
「じゃあわたしが説明するね☆勝ったのはヴィケッドという王国。負けたのはファインという王国だよ☆」「「!!」」
「ボクてっきりファインが勝ってヴィケッドが負けたのかと思ったよ。」
「おれも。」
素直に感想を述べる二人。リードにひっかかれるラン。
「ぼくが嫌いなんでしょうか…?」
涙目で振り向くランは女みたい。
「しるかそんなの」
冷たく言い放つリオ。
「じゃあ説明続けるね☆天上人は勝者ヴィケッドには白きオーラを。敗者ファインには黒きオーラを与えました。地上人はオーラとともに魔力を手に入れました。魔法が使えるようになったのです。」