溺れる魚 23

ゆう  2009-11-07投稿
閲覧数[195] 良い投票[0] 悪い投票[0]


私と新は6年後の約束をした後、最初で最後の、セックスをした。


こんなに幸福で、でも、こんなにも切なく、悲しいセックスは初めてだった。



新のキスを全身にあびながら、私は何度も涙を流した。

新に、気づかれないように…。


こんなに新を、好きになっていたなんて…

新が私から離れていくとき、こんな事にならないように、深入りしないつもりでいたのに…



新は、一生懸命私に気持ちを伝えてくれた。


新の、まっすぐな瞳。

新の少しトーンの低い、声。

新のいつも温かい、手。
新の、笑顔。

新の、優しいキス。

新の照れている、顔。


新は、待ち合わせにはいつも走ってきてくれた。


大好きだった。



大好きだった…新。



もう、見られないかもしれないその笑顔を、たくさん見せて…。

その声で私の名前を呼んで…。

その瞳で、今だけは…
私だけ、見つめていて。



一生分のキスをした。


一生分、思い切り抱きしめた。





私たちは、6年後の約束を胸に、別れた。



続く

i-mobile
i-mobile

投票

良い投票 悪い投票

感想投稿



感想


「 ゆう 」さんの小説

もっと見る

恋愛の新着小説

もっと見る

[PR]


▲ページトップ