猛「達也くんは…
父親はちゃうけど、
慶太の兄貴やってん。」
――「母さん、久しぶり」
「達也、いらっしゃい」
達也は遠慮なく、
家にあがった
「慶太郎は?」
達也はお茶を出す母親に
聞いた
「まだ学校。
今日は慶太郎に用?」
「いや、なんか久々やから
いっぱい話したいなあ…と」
達也は嬉しそうに笑った。
「あんたはほんまに
慶太郎が好きやなあ…
父親ちゃうのに…」
「親父違っても、
母親は一緒やん
あいつはな、
俺の唯一の弟や」
達也の父親は
だらしない人間だった。
離婚して、達也は
父親のもとで暮らし
こうして母親が再婚した後も
たまに母親の家訪れていた
「あんたは…
ほんま、優しい子やな」
「そうかな?」
「まだあの人の所で
暮らしてんの?」
「いや、今はもう家でた。
でも近所に住んどるから
たまに会うで。
ほんまたまにやけどな…
けど親父も元気やで。
最近はちゃんと悪いことせんと
仕事してるわ」
「そう…でも
あんたが家出たって聞いて
ほっとした」
達也はその言葉に
明るく笑った。
「…ただいま」
「あ、慶太帰ってきた」
達也は楽しそうに
玄関へ向かった