5.
真理「ねぇ〜。」
部屋に入った真理はベッドのふちに腰掛け、徹からプレゼントされたグッチチのバッグを撫でながら上目づかいに徹を見た。
徹「どうした?…まさか…『バッグの中に何も入って無いから買ってぇ〜』なんて言うんじゃないだろうな?」
真理「買ってくれるの?それなら、グッチチのお財布がイイわ!」
徹は驚いた。
真理「…なんてね。嘘よ嘘。違うわよ。先にお風呂に入る?って聞きたかったの。」
徹はヤレヤレという感じでバスルームの方へ向かおうとした、が立ち止まり真理が座っているベッドへと引き返し真理の隣へ座った。
徹「もうすぐモーニングが来るから食べてからにするよ。」
真理「じゃー私も、そうする。一緒に入ろ。」
徹は今度はビックリした。
まさか真理が『一緒に風呂に入ろう』なんて言うとは思わなかったからだ。
いつもの真理なら絶対に一緒に入ろうなんて言わない。
徹はプレゼントしたグッチチのバッグの効果に感謝した。
そして今度はグッチチの財布を買ってあげようと思った。
その時、ドアをノックする音がしてワゴンを押してボーイがモーニングを運んで来た。
ボーイは笑顔で2人に会釈をしてテーブルにモーニングを並べた。
モーニングと言っても皿数は机からはみ出すほどだ。
モーニングを運び終えたボーイに徹は、さりげなくチップを渡した。
ボーイは、そのチップの枚数に、ますます笑顔になり深々と頭を下げた。
徹から貰ったチップはチップという金額ではなかった。なんと一万円札が7枚もあったのだ。
ボーイはタイミングが良かった。