「よし。今日の腹いせに私の友達全員にこれ送ってやる」
「わーっ、待て、待ってください俺が悪かったですごめんなさいー!!」
「初めからそう言えバカ矢」
「ば…それ俺のこと?もしかして俺のことなのか!?」
「そうだ。今日からお前は『冬矢』改め『バカ矢』だ」
「なっ!やだよそんな!」
「問答無用」
「………騒がし」
1ー3の前を通った滝部俊太は苛々しながら息を吐き出し、足早にその場を通り過ぎた。
噂を信じて来てみたが、考えてみると自分があまりにも馬鹿らしくて更に苛ついた。
高倉冬矢、あいつならもしかしたらーーー
けれど所詮は噂でしかない。
現実に考えてそんな漫画の様なこと、有り得るわけはないのだ。
死人を呼び寄せることが出来る、などと。
「いってー…殴ることねぇのに伊織のヤツ…まじむかつく」
「元はと言えば高倉が嘘つくのがいけないんだろー?なんであんな嘘ついたんだよ」
「恋愛シュミレーションゲームばっかしてっからからかって聞いたんだよ。『もし今度の文化祭で執事喫茶があったら行くのかよ』って。そしたらあいつ、目の色変えちゃってさ、行く行く連呼して。騙すつもりはなかったのに本気に取られちゃって訂正する暇がなかったんだよ」
「あー。そういうこと」