倉の中は薄暗く至る所に箱や巻物などが置いてあり、その上にはホコリが積もっていた。
達也
「すごい……」
ヒビキ
『ホント……』
ガサガサ ガサガサ
そんな事を言いつつ、僕たちは音のする方へと近づいて行った。
ガサガサ ゴトン!
徐々に音が近づき、僕は棚の影から音のする方を見た。
柚姫
「ふぅ……やっと見つけた。
もう…お味噌をなんでこんな所にしまうかな〜」
達也
(なんだ…柚姫か)
ヒビキ
『っていうか、なぜお味噌…?』
そう言いながら柚姫の様子を見ていると少し変な感じがした。
よく見ると柚姫の頭の上に耳が生えているのに気付いた。
達也
「……(ごしごし)」
ヒビキ
『……(ごしごし)』
僕とヒビキは目を擦り、もう一度見たが事実には変わりなく柚姫の頭の上には耳が……もっと詳しく言うと狐の耳が生えていたのだ。
そして僕たちはもう一つ驚愕の物を見ることになる。
フリフリ フリフリ
柚姫の着ているスカートのしたからふさふさした尻尾がフリフリと揺れていた。
達也
「………………(ごしごし)」
ヒビキ
『………………(ごしごし)』
僕たちはもう一度、目を擦ったが目の前の現実に変わりはない。
ヒビキも声では言っていないがどうやらかなり困惑しているみたいだ。
そして僕たちはここから抜け出そうとしたが………
ズルッ!……ガッシャーーン!
床に落ちていた布切れに足を取られ、周りの物を巻き込んで盛大に転んでしまった。
なんだ……このマンガ的、展開は………
柚姫
「ッ……誰!!」
柚姫はそう言いながらこちらに近づいて、そして見つかってしまった。
柚姫
「達也さん!?ヒビキさんも!?」
達也&ヒビキ
「『や、やぁ』」
僕とヒビキはそう間の抜けた返事をして柚姫を見た。
柚姫は涙目になってこっちを見ていた。
柚姫
「い、い………」
達也&ヒビキ
「『い……?』」
柚姫
「いやぁーーーーー!!」
その柚姫の叫び声は家中に……山に響き渡った。