あの日から6年後の今、私は新を待っている。
あの時の、あの約束があったから別れた後、辛いときも乗り越えてこれた。
あの約束が、心の支えだった。
でも、いつの間にか…それに代わるものを、見つけてしまった…。
6年の歳月は、長すぎた。
郁恵からたまに新の話は聞いていた。
高校卒業と同時に家を出て、大学で寮生活を送っているらしい。
郁恵は家を出ることに反対したらしいが…。
いつの間にか雨が…
降り出していた。
まるで6年前の、あの日のようだ…。
私は大きな樹の下に移動し、新を待った。
あの雨の日のことを、
思い出していた…
…その時
「真理…さん?」
懐かしい…
新の声…。
「新…」
そこには、あの頃よりも大人びた、スーツ姿の新がいた。
「真理さん、久しぶり…だね」
新が笑顔で軽く頭を下げる。
私も、笑顔を見せる。
6年前の約束を覚えていてくれた…。
本当に来てくれるなんて…。
なんだか胸がいっぱいで… 言葉が出てこない…。
気づくと私は泣いていた。
「…立派に、なったね」
新は、私を抱きしめた。
続く