自転車をこいで、こいで、ひたすら前に進み続けた。
アイツはいつも言っていた。
「前に進んでいれば、きっと良いことがあるんだよ」
その時は、誰も気にもしていなかった。
何年たっただろうか?いや、何十年たっただろう。ふと、アイツの言葉思い出した。
いま、アイツは何をしているのだろうか?
昔、よく遊んでた公園に行ってみた。当時とは違い、閑散としてる。
「お父さん、誰かいるよ」
息子が言った。
「キィ…キィ…」
ブランコをこぎながら中年の男は呟いた。
「前に進めないんだよ…」