「ったく…写メまで撮られちまったし…あぁーっこれでしばらくはあれをネタに脅されるんだ!マジやってらんねーっ」
頭を抱えて唸る高倉にクラスの女子がきゃあきゃあ騒いでいる。
中村は高倉の落ち込み様にクスクス笑った。
「高倉って喧嘩強いのにイオリンにだけは頭上がんないよねー」
「お前はあいつの恐ろしさをわかってないからそんなことが言えるんだ……」
「いやぁ、高倉のお姉さんだって時点で強いことはわかってるから」
ちなみに美形姉弟または暴力姉弟で有名である。
「ああ、家に帰りたくねー…」
「あ、久しぶりに聞いたかもそれ」
「あ?…そうか?」
「うん。最近なかったじゃん」
そうだっけ、と高倉はどうでも良さそうに答える。
そんな彼を見て中村は先程とは違う優しい表情でまた笑った。
「よかった」
「なんだよ。ニヤニヤして気持ちわりいな」
「いや。もう前みたいにあんなことにはなってない、んだよね?」
「…あー、その事か。大丈夫だよ。うまくやってるし。まぁやっと最近だけどな」
「そう。偉い偉い」
「ばっ…俺は子供じゃねぇ!」
頭を撫でてくる中村の手を振り払い、高倉は少し顔を赤らめた。