Invisible Answerer -ep13-

へたれもち  2009-11-10投稿
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「龍堂さんだけ逃げて
下さい。わざわざ、
二人して死ぬ必要は
ありません。」

そう、この言葉を聞いた
とき…そんなこと聞き
たくないと思った。

「…呆気ないものです…
こんな簡単に人は死を
感じる…。」

その場に座り込んだ…
もう動けないと…その目
は終わりを見ていた。

私はどうするか悩んだ、
このまま見捨てるか、
最後まであがくか…ね。

「行け…。」

明らかな命令口調…
今までにない雰囲気…
多分、拒んでいる?

「最期を哀れまれる程
僕は落ちぶれてはいない
…だから行け!」

「哀れんでなんかいない
…そんなプライド持つ
くらいなら…
全力で生きなさい!」

決めた…こいつを死なせ
ない…絶対に。

「何故…助けようと…
一人で行けば確実に
助かるのに…。」

「…死なせたくないから
…それと…。」


僕は…所詮血に飢える
ような世界でしか生きて
行けないのに…。

血まみれにならないなら
…それで楽になれるなら
……死など…

残り時間が刻々と減って
いく、階段はまだ遠く、
間に合うか解らない。

予想外にペースは早いが
、体力が持たないようだ
…それもそうだ。

人一人支えているんだ…
しかも女性だ…もう、
諦めても…

やがて、階段が見える。
さっきからアラームが
鳴りっぱなしだ。

5分を切ったからだ。

どのくらい残っている?

階段の一段が高い…
いや、高く感じる。

「もう少し…だから、
頑張って!お願い!」

声が遠く聞こえ、
意識ももうろうとする。

あと二段位のところで、
足に力が入らなくなった
…あと…二段…。

腕が引っ張られるのが
解る…。そして、身体
全体が階段から上に
行った…。

直後、アラームの音が
大きくなる。

「一階は進入禁止エリア
になりました。」

…間に合ったのか…と
思うと、身体から力が
抜けた…。

「零!助かったみたい…
私達…。」

そうなのか…それより。

「温かいものですね…
人は…。」

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