勝手に一人で納得した小谷は、またごろんと横になって(床に直接)何やら校則違反のゲームを弄り始めたので、私は床の隅に座り込んだ。
あんなことを言っているけど、小谷は決して本心からそう思っている訳じゃない。小谷なりの気遣いなのだろう。
暫く前から、私、秋里楽は教室に入れなくなった。何かを恐れているということはわかる。何で恐れているのだろう。それもはっきり形ではないものを。
まあ結局、わからないのだ。
放送委員の私は、よく小谷が棲んでいる放送室に来る。小谷を見るとホッとするからだ。
だって、小谷はずっと『そこ』にいるから。
小谷以外のみんなは、『そこ』にずっといると確信出来ない。
姉でさえ、不安になってしまう。
昔はこんなこと、なかったのに……。
本当、わからない。