「まぁ、こんなものです、はい。何か他に質問ありますか?」
再び先生が問いかける。すると、前の方に座っていた生徒が質問した。
「先生、罰則って具体的にどんなものが……?」
先生はその穏やかな顔を崩さずに答えた。
「軽いものはPP減点、重いものは謹慎……」
(謹慎!?自宅謹慎!?まだ全ての学園内規律に目を通していないが、そんなに重い罰則が……)
「あぁ、皆さん。謹慎と言っても自宅謹慎ではありません。学園謹慎です。」
(学園謹慎?学園内で謹慎するのか?)
「あまり詳しく話しませんが、一定期間学園で生活するものです。もちろんその期間中は帰宅できません。」
生徒皆の表情が暗くなる。
「皆さんそんなに心配しないで。普通に生活していたらそんなことになりませんから安心してください。」
先生は必死に俺達の不安を解消させようとした。しかし、出来なかった。入学当初からこのような話ばっかり、正直言って不安だらけだろう。
「なんか法律みたいだな……」
ある一人の生徒が呟いた。するとまた、先生が話し始めた。
「法律みたいですか……確かにそうかもしれませんが、まず存在理由がこの二つでは違います。法律は皆さんもご存知の通り国民を守るためのものです。国民が安心して暮らせるためのルールを法的に定めているわけです。ではこれはなんだというと、君達の生活態度を改めさせたり、人間性を養うもの、これは学園の義務であり、学園側の為にあると言っても過言ではありません。実際のところ、こんな規則、あったところで君達に直接的なメリットはありません。ここが二つの大きな違いです。まぁ、間接的には君達にもメリットはありますから、意味のないものではないですよ。」
先生の話を聞いて、少し関心した。
(なるほど、規律は学園の為か……学園内の秩序、風紀を保つ為のものだからその通りか。)
「じゃあ、生徒手帳は閉まって下さい。家に帰ったらよく読んでおいてください、はい。」
(これは隅から隅まで読んでおかないと……)
そう思った。
<解説>
学園内規律
…学園内での生徒の生活態度を正すための規律。これに反すると、A級からD級の罰則を受ける。なお、A級が一番重い罰則を受ける。例えば学園謹慎処分である。内容は生徒の生活態度から学園の制度のことまで幅広い。